マイクロ波送電の将来展望

[宇宙空間での利用]

電力衛星

電力の必要なユーザー衛星に対し、必要な電力をマイクロ波によって供給する発電衛星構想。地上における発電所と役割を同じくする。この構想の利点はユーザー衛星が巨大な太陽電池を自ら広げずとも必要な大電力を得ることができる点にある。すると大電力を用いながらマイクロg環境の要求を満たすことが容易となると考える。また、地上における自家発電に対する発電所システムと同様で、コスト削減につながると考える。宇宙機ー宇宙機間での送電となるため、生体への影響を考慮する必要が小さく、SPSを実現する1ステップとなると考えている。

関連実証実験

 

月面での利用

将来月面開発の初期段階、さらにはその後も必要な電力を供給するために、マイクロ波送電を利用する構想である。月面での発電は当面は太陽光利用の発電となると容易に予想されるが、すると夜間の発電は不可能となる。マイクロ波送電は発電所―ユーザー間に送電線が必要ないため、昼間地域で発電した電力、または衛星で発電した電力を夜側へ容易に送電することができる。また、月面移動ローバーへの送電にも利用可能で、エネルギーの利用範囲を広げ、月面での人間活動範囲を広げることができると考える。さらに発送電システムを発展させれば月面で発電した電力を地上で利用することも可能となるであろう。

 

宇宙太陽発電所SPS

静止衛星軌道上の衛星で太陽光発電した電力をマイクロ波に変換、地上の受電システムレクテナに送電して地上で電力を利用する構想である。太陽光発電のためクリーンな発電であること、地上の太陽光発電等とは異なり大規模なシステム(発電量1000kW)であるため将来の基幹電力になり得ること、巨大宇宙機であるため人間の宇宙進出の足掛かりになること等、様々な利点を有する。逆にマイクロ波の電離層や生体への影響の懸念、経済性等、早急な検討が必要な箇所も残されている。本センターでは石油に代表される化石燃料の枯渇が深刻化し、また、地球温暖化等の環境問題が深刻化する前に、2030年頃の実現を目指して研究を進めている。

関連実証実験

 

[地上での利用]

成層圏無線中継機システム

通信衛星の代わりとして、成層圏を飛行する飛行機を通信中継基地とし、通信に必要な電力を小さくしようとするシステムが検討されている。中継機のエネルギー源としてマイクロ波送電が有力視されている。

関連実証実験

 

電気自動車への送電

化石燃料の枯渇に伴い、現在のガソリンエンジンシステムに変わる動力システムの開発が必要なことは自明である。現在も研究が進んでいる電気自動車はその解の一つであろう。マイクロ波給電により、電気自動車をさらに快適に用いることができると考える。移動する電気自動車への送電による移動距離制限の撤廃、安全性の確保のための非接触方式の給電スタンド等、様々な利用形態が考えられる。

 

離島や山頂等、有線送電の困難な遠隔地への無線送電

設備投資が小さく、設置の容易なマイクロ波送電は場合に応じて地上で有線送電に代わるものと期待している。

関連実証実験

 

細管中を移動するロボット等への送電

有線での電力供給が困難である複雑な形状をした細管中を移動するロボットや、万が一の事態に人間の立ち入ることのできない原子力発電所内部を移動するロボット等への送電も検討中である。いずれもバッテリー方式では時間制約が生じるため、マイクロ波給電の利点を生かすことができる。

 

その他、マイクロ波送電は様々な応用が可能であり、電気エネルギー利用の可能性を大きく広げることのできる技術であると考える。

 


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